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獅子の舞 19

1時間程して高臣のスマホがポケットの中で振動した。

「はい。」
『水無月です。今お時間よろしいでしょうか?』
「何か分かったのか?」
『はい。今お聞きになりますか?それとも部屋まで行きますか?』
「部屋で聞こう。待っててくれ。」
『畏まりました。では部屋にてお話させていただきます。』

電話を切ると眠っている夕月を抱き上げ保健室を出る。
向かうのは高臣の部屋。

部屋につき寝室のベッドに夕月を横たえると、毛布を掛けた。
自身の足でキッチンに向かい珈琲を入れ、コーヒーカップを片手にもち、リビングにあるソファーに座り、コーヒーカップを机の上に置いた。

数分して入り口にノックの音が響いた。

「入れ。」

失礼いたします。と部屋に入ってきた男は、高臣の家の執事。
黒主体の燕尾服を着、ピンと伸びた背筋はこれぞ執事と言わんばかりだ。
藤堂家の執事、水無月はその道30年の執事長である。
藤堂家の全ての執事、メイドを取り仕切り、藤堂家の繁栄の為に諜報活動にも余念がない。
それは全て藤堂家に住まう主人(あるじ)の為。

「話を聞こう。座れ。」

部屋のリビングのソファーに座り、高臣は水無月が座るのを待つ。

「いえ、高臣様。私はこのままで。」

一向に座ろうとしない水無月を放置し、高臣は珈琲を手にした。

「全てお話になられますか?それとも…」
「そうだな…。柳城学園に入る前の夕月を教えて欲しい。」
「畏まりました。」

水無月は更に背中をピンと伸ばし、鞄の中から3束の分厚い資料を取り出した。

「海田様は、10歳でT町にあるアパートにお住まいになりました。兄の夜月様とご一緒に。」
「母親と父親は?」
「母君様と父君様はご一緒ではなかったようです。」
「2二人だけで暮らしていたのか…」
「そのようです。母君様も父君様も詮索することはどうしてもできませんでした。」
「水無月、お前でもそんな事があるのだな。」
「申し訳ございません。私の力不足です。」
「ふむ、続けてくれ。」
「こちらが海田様と夜月様の資料になります。」

水無月は分厚い資料を高臣に渡した。
高臣は机にコーヒーカップをコトリと置き、資料を受け取る。

「小学校時代のことはいい、中学からの夕月は?」
「中学入学すると共に兄の夜月様と夜中に外で遊ぶようになられたみたいでございます。」
「赤獅子と銀獅子か…。」
「そのようにございますね。」
「こちらが中学ご在学時の海田様と夜月様、こちらが赤獅子と銀獅子と言われている写真です。」

4枚の写真を高臣に渡すと水無月は更に話を続ける。
2枚の写真には今よりも幼い夕月と夜月の黒髪の姿。
もう2枚の写真には大人びた赤い髪と白銀の髪の赤獅子と銀獅子の姿。

「そういえば最近赤獅子を見ないな…」
「夜月様はお亡くなりになられております。」
「亡くなった?!何故だ?」
「警察のメインコンピュータには事故として処理されているようでございます。」
「事故?」
「はい、ですが…その遺体の写真がどうも妙でして…」

見られますか?と言う水無月の声に高臣はすぐに見せろと手をだした。

「こちらがその遺体の写真でございます。」

何枚かの写真を水無月は高臣に渡した。
高臣は渡された写真を見て驚愕した。
全裸の赤獅子は、それは無残な遺体だった。
白い肌は所々に紫色の痣があり、胸にあったと思われる獅子の刺青は何者かの手によって皮膚からはがされ、赤黒く変色している。
それだけではなく、後孔には裂傷があり、血と白い液体でピンク色になり、太股についた血は固まっていた。
1つだけマシなのは、顔だけだった。眠っているかに見える美しい顔。

「第一発見者は海田様のようです。」
「夕月が!?…これを目の前で見たのか!?」
「そのようにございます。」

高臣はリビングの机をバン!と叩くと頭を抱えて蹲った。
机の上にあったコーヒーカップが倒れ、そして零れた。
零れたコーヒーは一筋の線になり床にポタポタと落ちていく。

「これは、事故ではないだろう!」

小さく囁くように高臣が吼えた。
水無月は鞄の中から布巾を出すと、零れた珈琲を拭きながら言った。

「そう思いましたので、調べさせていただきました。それで遅くなってしまいました。申し訳ございません。」
「いい、それで?」
「事故ではなく、殺されたのではないかと…。」
「殺されたのだろうな。」
「事故にあったと言う現場付近で聞き込みをさせましたところ、近所の主婦が族同士が喧嘩をしているのを目撃しております。その族と言うのが、悪鬼と暁だったようです。近くで銀の髪と赤い髪の青年も目撃されておりますので、どうやらその時に夜月様のみ殺されたのではないかと。」
「悪鬼と暁…。」
「私個人の見解ですが…」
「良い、言え。」
「悪鬼と言う族の総長、三ノ宮裂ではないかと言う見解です。」
「だろうな…。」

高臣は震えた。
震える肩を抱き、怒りが収まるのを待つ。
いつ見ても瞳の奥にあった悲しみはこれだったのだと高臣は気づいた。
偽りの笑顔の奥にあった悲しみ。夕月はどんなときでも笑っていた。
心から笑っている姿も見せた。
1ヶ月前までは…。

眠りながら泣いていた夕月。
高臣はこの時夕月をこれ以上悲しませたくないと思った。
偽りの笑顔ではなく、いつでも心から笑えるように支えたいと思った。
喜怒哀楽の乏しい夕月の顔。
見せるのはいつでも笑顔、だが本当の笑顔をみたことはない。

―お前の本当の笑顔が見たい。俺はお前に何をしてやれる?

高臣は眠りながら泣いていた夕月の言葉を思い出す。

『…兄さん……いかないで―…側にいて――……』

言葉を思い出した高臣は水無月に全ての資料を貰い、夕月が寝ている寝室に向かった。



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2015-01-18 21:52 : 獅子の舞 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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